〜コンクリート構造物の補修,補強,アップグレード論文報告集,第14巻,pp287-294,2014.10〜

東京地下鉄(株)武藤 義彦

東京地下鉄(株)大泉 政彦

東京地下鉄(株)諸橋 由治

(株)国際建設技術研究所葛目 和宏

東京工業大学大学院大即 信明

要旨:

東京メトロの河川下のトンネルでは,特に感潮河川下において漏水中の塩化物イオン濃度が高く,塩害劣化の兆候が見られる区間が幾つか存在する.そのような区間では,過去に断面修復した個所の一部で,著しいマクロセル腐食が認められた.そこで塩害劣化に対して抜本的な対策工法を検討すべく,現地試験施工および室内試験を行った.その結果,地下鉄トンネルでの環境・施工条件を考慮した場合,表面含浸材が塩化物イオンのさらなる浸透抑制の効果を有すること,および犠牲陽極材と低電気抵抗率と超速硬性を有するPCMの組合せが効果を示すことを確認した.また, 地下鉄トンネルにおける犠牲陽極材の防食効果の持続性は概ね10年程度と推測される.